日本の伝統楽器である『箏』。
長い歴史と独自に進化してきた面もあり、奥深いところがあります。
定期テストでは知識事項を中心に、有名な楽曲が出題されます。
この2つがポイントです。
知識事項
歴史
奈良時代に雅楽に使われる楽器の一つとして唐(当時の中国)から伝わった。現在も雅楽で使われるこの箏は「楽筝」(がくそう)という。一方、雅楽以外で使われる筝は「俗筝」(ぞくそう)と言われ、独自の発展を遂げてきた。普段目にする日本の“こと”はこの俗筝である。
江戸時代初期に、八橋検校が基礎を大成させた。その後生田検校、山田検校が大きく発展させて、「生田流」「山田流」として現在に至っている。
検校は、江戸時代までの盲官(盲人の役職)の最高位。
出題例
①筝はいつ、どこから伝わったか?
【答】奈良時代、唐(中国)
②現在の筝曲を確立した人物・発展に努めた人物は?
【答】八橋検校
(「やつはしけんぎょう」の読みを“ひらがな”で書かせる出題もあります。)
(生没年、1614年~1685年を答えさせる学校もあります。)
③二大流派は?
【答】生田流 山田流
④「楽筝」「俗筝」の違いは?
【答】楽箏 → 奈良時代に唐から伝わり、現在も雅楽で使われている箏
俗筝 → 独自の発展を遂げてきた雅楽以外で使われる箏
⑤検校の最高位は何石の大名と同じくらいの権力があったか?
【答】10万石
⑥盲官を位の高い順に並べると?
【答】別当、勾当、座頭
箏の各部位の名称
教科書に載っていることを覚えておけば問題ありません。
下のように写真やイラストで示されている部位を答えます。
ほぼ全部答える場合と、いくつかを答える場合があります。
弦の名称
箏の向きに注意する必要があります。
全部書かせる場合と、一部を書かせる場合があります。
一部を書く場合は、“一・二・三”と“斗・為・巾”が頻出です。
どちら側から一、二、三・・・となっているか、11本目以降の呼び方が分かっているかを問われるということです。
箏の基礎知識
教科書に載っていることと、ノートやプリント類、副教材などの学校で習ったことを理解し、覚えておけば解けます。
出題例
①箏の胴(本体)、弦は何でできているか?
【答】胴→桐の木、弦→絹糸
②弦は何本か?
【答】13本
③箏の各部位の名前は何の動物になぞらえてつけられているか?
【答】竜
④音の高さを調整するために動かす駒を何というか?
【答】柱(じ)
(右に動かすと音は高くなり、左に動かすと音は小さくなる。これを聞かれることもあります。)
(漢字や読みを正しく答えさせる出題も多いです。)
⑤最も基本的な調弦法は?
【答】平調子
生田流と山田流
二つの流派の違いは頻出です。ただし問われることは決まっているので、覚えておきましょう。
出題例
①座り方
【答】生田流 → 斜め左45°を向いて右ひざ外側が磯にあたるように座る
右側の腰が竜角の延長線上にくるように座る
山田流 → 正面を向いて両ひざが磯にあたるように座る
体の中心を巾の弦の柱に合わせて座る
②爪
【答】生田流 → 角爪
山田流 → 丸爪
奏法
奏法の名前と意味、写真を見てどの奏法か分かるようにしておくことがポイントです。教科書に載っている範囲で理解できていれば問題ありません。
学校で実際に箏に触れた、演奏したという場合は、そこからの出題も見受けられます。
出題例
①爪はどこにつけるか?
【答】右手の、親指・人差し指・中指
②はじめ、右手・左手はどのようにするか?
【答】右手 → 薬指を竜角の上に置き、右肩の付け根を竜角のラインに合わせる
左手 → 弦の上に、柱に沿うように置く
③奏法
【答】合わせ爪:2本の弦を親指と中指で同時に弾く
流し爪:親指で巾から一へ向かって続けて弾く
スクイ爪:親指の爪の裏側で手前に向かって弾く
押し手:左手で弦を押して音の高さを上げる
後押し:弾いたあとに弦を押して余韻を変化させる
トレモロ:人差し指で1本の弦を連続して弾く
ピッツィカート:右手の薬指や左手の、爪をつけていない指で弦をはじく
④旋律や奏法を覚えるために、楽器の音のまねをして歌うこと
【答】唱歌
楽曲
鑑賞したり、授業で扱う楽曲として、誰もが耳にしたことのある『六段の調』と『さくらさくら』があります。これらについて見ていきます。出題される内容はほぼ決まっているので、授業で習ったこと、板書や配布されたプリント類などを、しっかり理解しておきましょう。
六段の調
出題例
①作曲者はだれか?
【答】八橋検校
②特徴は?
【答】箏独奏の純器楽曲
(歌詞がない)
③調弦のしかたは?
【答】平調子
④各段の拍数は?
【答】104
(52拍子104拍、初段のみ54拍子)
⑤この曲の音楽構成は何と言われているか?
【答】序破急
(初めはゆっくりしたテンポで、段が進むにつれて速くなり、最後でまたゆっくりになる)
(日本の伝統芸能に共通する表現)
さくらさくら
出題例
①家庭式楽譜(和楽器の楽譜)の「ゝ」「〇」「⦿」は何を表しているか?
【答】ゝ → 同じ音の繰り返し
〇 → 1拍休む
⦿ → 前の音を1拍のばす
②楽譜にある「ヲ」「ス」は何を意味するか?
【答】ヲ → 半音上げる
ス → スクイ爪で演奏する
③楽譜にある「ヲ」、波線で書かれた部分、の奏法は?
【答】ヲ → 押し手
(波線部分) → 流し爪
まとめ
- 基礎知識
- 歴史と流派
- 箏の各部位や弦の名前
- 奏法
- 楽曲(六段の調・さくらさくら)
これらをおさえておくことがポイントです。
「箏」は細かい部分まで理解や暗記しておくべきことが多いです。
出題方法も選択問題、語句を答えさせる問題、記述問題と様々です。
しかし、出題されることはほぼ決まっています。
しっかり理解、暗記をして、自分で説明もできるように対策をしておけば、問題ありません。
学校で楽曲を鑑賞したり、実際に箏を演奏したのであれば、その時のことにも注意して下さい。そこからのオリジナルの出題も見られます。
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