個別指導を選ぶ理由として以下が代表的なものです。
・集団塾だと授業についていけないから。
・うちの子どもは消極的で大人数のところだと質問できないから。
・生徒数が多いと講師とのコミュニケーションがしっかりと取れないから。
・子どもに合わせた学習内容を提供してくるから。
個別指導なら「子どものできない部分だけを・効果的に・子どもに合わせて・丁寧に教えてくれる」ということを期待して塾を選びます。
しかし現実は、まったく成績が上がらないというケースが非常に多いです。
この記事では
①なぜ個別指導の塾では成績が上がらないのか?
②どういう子どもが個別指導の塾に向いているのか?
②どうしたら現状を解決できるのか?ということを紹介します。
個別指導の塾で成績が上がらない原因
「カレーを食べたい‼」とおもったら、どんな店に行きますか?
きっとカレー屋さんに入ると思います。
カレーを食べたいと期待する客がカレーを出す店に行けば希望は叶います。
当たり前のことですが、期待するサービスと提供するサービスが一致しているから希望は叶います。
しかしカレーを食べたいと思って美容院に入ったらどうでしょう?
期待するサービスと提供しているサービスが違うため希望が叶うことはありません。
同じことが個別指導塾と子どもを通わせる親との間で起きています。
個別指導の塾で成績が上がらない原因は
「塾が提供できるサービスと親が期待するサービスにギャップがあるから」です。
まず親が「個別に指導する」という文言で期待するものは
①子ども毎に丁寧に教えてくれる
②子どもに合わせて分からないところや苦手なところだけを教えてくれる
③個別で教えてくれるから講師とのコミュニケーションが取りやすい
④分からないところがすぐに質問できる
上記のようなことが個別指導の塾に通わせる理由でよく聞くものです。
残念ながら多くの個別指導塾ではこれらの希望は叶いません。
なぜなら個別指導の塾が提供しているサービスでは、親の期待にこたえるサービスを提供できないからです。
その理由は個別指導塾の運営の実態を知ればわかります。
個別指導塾の実態
独立するまでにいくつかの塾で指導しました。
個別指導の塾でも指導をしたことがあります。
その経験から個別指導の塾では成績が伸びない理由を紹介します。
個別指導の塾の授業時間では十分な指導ができない
個別指導の塾は授業時間が短い場合が多いです。
授業時間が短い理由は料金と経費の関係にあります。
まず忘れてはいけないのが塾はサービス業であるということです。売り上げを出さないと経営ができません。
良いサービスをするためにはお金がかかります。
しかし授業料を高額にすればするほど通える生徒の数は減っていきます。
そこで子どもの教育費用の相場に金額を設定することになります。
文科省の統計を調べると子どもの塾代の全国平均の相場は月2~3万円という家庭が多いようです。
2万円で週1回授業を行う場合を考えてみます。
月に4回の授業だと考えると一回の授業で5千円。
個別指導の塾の講師の時給は大体1時間1,100円~1,300円です。
健全な経営状態を保つには塾の場合、人件費を収入の30~35%に納める必要があります。
個別指導の塾の場合、多くのアルバイト講師を雇うため、講師を管理する教室長はあまり授業を行いません。
つまり1回の授業の費用5,000円にかかる人件費は授業を担当する講師と教室管理者の人件費も含む必要があります。
5,000円の授業料で授業時間を1回2時間だとします。
アルバイトの講師だけで1,100円の時給でも2,200円。1,300円なら2,600円です。
これにアルバイト講師の交通費と教室管理者の人件費を足すと1回の授業で3,500円~4,000円くらいを人件費で占めることになります。
1回の授業で1,000~1,500円しか生徒一人で残らないことになります。塾の場合、人件費以外にも家賃・広告・冷暖房・修繕費・消耗品題・通信費・税金等がさらに経費でかかります。
5,000円で1回の授業を2時間行っては全く収支が合いません。
だから個別指導の塾は授業時間の短くすることで人件費を抑えます。
講師一人当たりの担当する生徒数を増やすことで、人件費を抑える手段もあります。
個別指導と言いながら1対2や1対3の塾は非常に多いです。全国に展開している某個別指導塾は講師一人が最大8人の生徒を担当しています。
生徒は8人いるけど、生徒の学習内容がバラバラだから個別という理屈のようです。
このように個別指導の塾は人件費を抑えるために授業時間を減らすか講師一人当たりの生徒数を増やすことで人件費を調整します。
子どもの成績を伸ばすことを目的にした授業時間の設計ではないので成績が上がるわけがありません。
個別指導のサービスは学力に不安がある子どもほど向いていない
まず多くの個別指導の塾では十分な授業時間がないため定着のために必要な宿題の量を出すことができません。
基本的な授業の進み方は前回の「確認テスト→新しい単元を解説→問題演習→終了」という流れで進みます。
どこの塾でも授業の流れ自体は同じですが、個別指導の塾では80分の授業時間内で新単元を解説する時間は10~15分程度でした。
多くの生徒は宿題が少ないため前回授業の定着ができていませんでした。
冒頭の確認テストで点数が取れません。
前回授業の知識が未定着だと新単元を理解することが難しくなるので、確認テストの解説をします。この解説と復習に多くの時間を使います。
定期テストまで時間があるときは前回の復習で終わることもあります。
しかし定期テストが近付いてくると試験範囲を終わらせないといけないので強引に進めるしかありません。
ひとしきり教えるだけのことはできます。
しかし授業以外の時間で知識が定着するように勉強する子どもの割合は多くありませんでした。
考えてみれば当たり前です。
そもそも個別指導の塾には子どもの勉強の習慣や方法を改善してほしいという期待をもって選ぶことがほとんどです。
学習習慣のない子ども一人でしっかりと勉強をするわけがありません。
授業形態が1対2以上の場合はさらにひどいものでした。
授業の流れとしては一人に新しいことを教える。→問題を解かせる。+その間にもう一人に教える。→それが終わったら次の一人に教えるというサイクルで授業を行います。
解説のタイミングが合わなければ採点は生徒に任せても良いと言われていました。
以前勤務していた個別指導の教室では、授業の間にご家庭への報告書も作成しなければいけませんでした。
教えられる量はさらに少なくなります。
集団指導よりもきちんと教えてもらえるという期待には十分に応えられませんでした。
個別指導塾の講師の質は同じ教室でも大きく異なる
個別指導塾の講師は集団指導の講師に比べて品質のブレが大きいです。
なぜなら個別指導塾は、多数の講師が在籍していないと運営ができないからです。
たとえば20人が入る教室で稼働率が80%だとします。
生徒が一度に16人くる計算です。
全員が1対2で授業を担当するとしても講師が8人必要です。
さらに講師ごとに指導可能科目も違います。
人間性・指導歴は二の次。そもそも個別指導の塾の場合、ほとんどが学生講師のため指導歴を期待するのが無理です。
教室長が、授業の進捗・教え方などを指導できれば良いのですが、勤務していた時に、そんなことをされたことは一度もありません。
教室長と講師の一日の業務の流れを考えると、生徒全員を担当ごとに教えかたや情報を管理者と共有する時間はないです。
解決策としては授業担当の全講師が一定水準のレベルにあればよいのですが…。
いくつかの個別指導の教室で指導経験がありますが、所属講師の全員が一定水準以上にある教室をみたことがありません。
個別指導の塾に向いている子どもの特徴
個別指導の塾で成績を伸ばすために子どもに必要な条件は3つです。
①自分で教科書を読み勉強が進められる
②マルつけ、やり直しが自分でできる
③授業内ではわからない問題だけをドンドン質問できる
ポイントは「授業の時間に質問だけをする環境を作れるか?」です。
そのためには授業以外の時間で予習・復習を自分でできることが前提になります。
そして授業では分からない部分だけをドンドン担当講師に質問するという進め方をすれば効率的に学習を進めることができます。
成績は次第に上がっていくはずです。
このように個別指導で成績が伸びる子どもの条件のハードルは高いです。
そもそも個別指導の塾を選んだ理由は
「自分の子どもは一人で勉強ができない」
「集団指導の塾だと学力的についていけない可能性がある」
という問題を解決するために選んでいる場合が多いと思います。
しかし、そのレベルの子どもが個別指導塾に行っても授業時間が短いため十分な学習ができない。
さらに自分で学習する習慣がないため定着もできないという状態になります。
成績が上がるわけがありません。
個別指導のシステムで伸びるタイプと親が期待するサービスのギャップです。
解決できる3つの方法
では、現在、個別指導の塾に通っている子どもの場合、どのように改善をすればよいのか?方法は3つあります。
子どもの取り組み方を変える
子どもが自分で勉強ができる能力がつく。
環境を変えるリスクもない。
それができれば悩んでいない。
実現可能性は一番低い
受講時間数を増やす
授業時間の確保が困難ということが個別指導塾の最大のデメリット。
受講時間を増やすことができれば多くの問題を解決できる。
塾にかかる費用は大幅に上がる。1コマ80分であれば週に2コマは必要。
それを最低でも英・数・国で6コマ。
理社も含めて成果を出そうと思うなら最低週10コマは受講する必要があります。
塾を変える
環境・方法を変えることで今の状況を変えるきっかけが作れる可能性がある。
今までと同じ費用で子どもに合ったサービスを受けられる可能性がある。
新しく塾を探す手間がかかる。
現状で守りたい成果が出ているのであれば、今よりも悪くなる状況もあり得る。
まとめ
いかがでしたか?
個別指導というと子ども毎に合ったサービスを提供してくれるイメージを持ちがちです。しかし個別指導の塾に適合させるのはとても難しいということがわかってもらえましたか?
これから個別塾に通わせるか?または今通っている個別指導の塾をどうしようか?とお悩みの方は
①個別指導の塾のメリット・デメリットを理解する
②自分の子どもの性格を考える
③子どもの学習状況・家族のバックアップ体制を検討する
この3項目をしっかりと考えた上で、ご自身の子どもが個別指導の塾に合っているかを検討して下さい。
それでもうまくいかない場合は、東都ゼミナールPersonal Planがお役に立てるかもしれません。
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