・不定詞を習ってから英語が、よくわからなくなってきた。
・基本的な問題はできるけど、総合問題になると正答率があまり高くない。
・不定詞の用法の判断をする問題がわからない。
この3つの事象は、すべて今までの英語の勉強のやり方に問題があるからです。
この状況が続くと英語はドンドンわからなくなっていきます。
不定詞をきちんと理解することで、今後の英語の理解が飛躍的に上がります。
この記事では、不定詞の名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法の判断と不定詞を使用した日本文・英文の作り方を紹介します。
なぜ不定詞から英語が難しくなるのか?
パターン学習の限界を迎える単元が不定詞だからです。
まず不定詞の単元に入るまでの文法単元は、ほとんどが英文の基本である主語と動詞の部分に重点を置いています。
中1の最初にI am~. You are~. He is~.から始まり、
2学期にはI play~. He plays~.などを学習して、
3学期にはYou can~やHe is playing~。
2年生になっても、I was doing~やShe will help~などの表現を勉強したてきたと思います。
主語と動詞以外の単元と言えば、名詞の複数形と代名詞の格変化ぐらいです。
それですら、名詞が複数の場合は、be動詞はareを使うという知識を覚えますし、代名詞の格変化では主格を勉強します。
結局、不定詞の単元に入るまで主語と動詞の話に集約されています。
不定詞を習うまでは、作ることのできる英文が限定的なので、パターンを覚えてしまえば、高得点を取ることができます。
ところが不定詞を習うと作れる英文が非常に広がるため、ワンパターンでは対応できなくなります。
たとえば「~ための」か「~べき」という日本語なら形容詞的用法だと習います。(あとで解説します。)
I want something to drink =私は飲み物が飲みたい。
このto drinkは形容詞的用法です。
しかし、例文の日本語訳の中に「~ための」や「~べき」は、どこにも出てきません。
不定詞では、覚えた日本語が必ず使えるとは限りません。
このように不定詞の学習が始まると、英文が長くなり、ワンパターンでは英文を書くことも、日本語の意味を取ることもできなくなります。
だから主語と動詞の部分も満足に作れない中学生であれば、英語の成績は壊滅的になります。
パターンで英語を勉強していた中学生も不定詞から要求される知識のハードルが上がるため、誤魔化しきれなくなってきます。
不定詞とは
言葉は役割ごとに分類をすることができます。
たとえば「リンゴ」「イス」「くるま」はモノを表す言葉なので名詞という仲間です。
「走る」「たべる」「勉強する」は動作を表す言葉なので、動詞という仲間になります。
一方、不定詞は「to+動詞の原形」という形で、「名詞」・「形容詞」・「副詞」の3つの仕事をすることができます。
同じ形なのに、仕事が決まっていない言葉…つまり不定詞です。
だから不定詞を理解するためには、品詞の分類と理解が必須になります。
不定詞をできるようにするために必要な考え方
不定詞の講義動画や学校の授業ノートを見ると書いてあることは
1.「to +動詞の原形」という語形
2.「~すること」ならば名詞的用法
3.「~するための」や「~すべき」という訳なら形容詞的用法
4.「~するために」や「~して」であれば副詞的用法
この4つを解説しているものが多いです。
この知識自体は紹介するし、覚えなければいけない知識です。
しかし、この理解の順番だと英語ができなくなります。
なぜなら日本語にしてから用法を判断するという考え方は、手段と目的が逆だからです。
文法を勉強する意義は英文と日本文を正しく変換するためです。
不定詞では、名詞・形容詞・副詞を判断して日本語の意味を取るのが正しい順序です。
ところが「『~すること』という日本語だから名詞的用法」という判断だと名詞・形容詞・副詞の判断をする意味がありません。
正確な日本語訳にするという目的のために、名詞・副詞・形容詞の判断を手段にします。
不定詞をできるようにする方法
一番大切なことは品詞の分類ができるようになること
多くの中学生は、不定詞を習うときに初めて、名詞・副詞・形容詞を意識するように習います。
これが英語を苦手にさせる原因の一つだと思います。
品詞の分類は不定詞を勉強する前からやっておくべき内容です。
品詞の分類は、中学1年生の授業内容で練習できます。
まず名詞・形容詞・副詞がどんな言葉なのかを覚えましょう。
名詞=モノ・ヒトを表す語
形容詞=名詞につなげて自然な語
副詞=名詞以外につなげて自然な語
例文
1.I play baseball.
I=わたし→ヒトを表す語=名詞
Baseball=野球→モノを表す語=名詞
2.He is a kind boy
彼は/優しい/男の子/です。
「優しい」が説明しているのは、「男の子」です。
男の子=人を表す語=名詞
名詞につなげるので「優しい」は、形容詞です。
3.She runs fast.
彼女は/速く/走ります。
「速く」は「走ります」という動詞(=名詞以外)につながります。
だから「速く」は副詞です
名詞・副詞・形容詞の判断の仕方
名詞=itに置き換えても文が成立する
I like tennis very much.
私は/テニスが/とても/好きです。
今、区切ったものをitにしていきます。
1.「私は」→「それは」
それは/テニスが/とても/好きです。
2.「テニスが」→「それは」
私は/それが/とても/好きです。
3.「とても」→「それが」
私は/テニスが/それが/好きです。
「文が成立する」の定義は、自分が会話で表現するかどうかではありません。
1~3を比較してください。
3だけ日本語の文として、おかしいですよね?
この例文では、「とても」だけが名詞ではありません。
このように名詞は、「it(それ)」に置き換えて文が成立します。
形容詞=itで文が成立せずに、名詞につながる
Do you want something cold?
あなたは/冷たい/ものが/欲しいですか?
まずはit(それ)に置き換えます。
1.「あなたが」→「それが」
それが/冷たい/ものが/欲しいですか?
2.「つめたい」→「それ」
あなたは/それが/ものが/欲しいですか?
3.「ものが」→「それが」
あなたは/冷たい/それが/欲しいですか?
1~3のなかで2以外は文が成立しています。
つまり「つめたい」以外は名詞です。
名詞ではないということがわかったら、次は「つめたい」がどこにつながるかを考えます
1.つめたい+あなた=つめたいあなた
2.つめたい+もの=つめたいもの
3.つめたい+欲しいですか?=つめたい欲しいですか?
2が一番自然ですよね?「つめたい」は「もの」につながるとわかります。
「もの」は名詞です。
名詞につながる語=形容詞なので、「つめたい」は形容詞だとわかります。
このようにitで文が成立しないで、名詞につなげて自然な言葉が形容詞です。
副詞=itで文が成立せずに、名詞以外につながる
He plays baseball every day.
彼は/テニスを/毎日/します。
まずは名詞の判断をします。
1.「彼は」→「それは」
それは/テニスを/毎日/します。
2.「テニスを」→「それを」
彼は/それを/毎日/します。
3.「毎日」→「それ」
彼は/テニスを/それ/します。
1~3で3以外は文として成立しています。
つまり1と2は名詞ということがわかり、3は名詞以外だとわかります。
つぎに「毎日」がどこにつながると自然かを考えます。
1.毎日+彼は=毎日彼は
2.毎日+テニスを=毎日テニスを
3.毎日+します=毎日します
3が一番自然ですよね?
「します」は動作を表す言葉なので動詞です。
つまり動詞=名詞以外の言葉ですよね。
「毎日」は名詞以外につながるので、副詞だと判断できます。
この考え方を利用して、不定詞の用法の判別も行えます。
不定詞の基本3用法の判別方法
英語→日本語に直す4つのステップ
ステップ1 英文は前から固まりでくぎって取る
ステップ2 名詞的用法の判別をする
ステップ3 名詞的用法ではなかったら、形容詞的用法の判別をする
ステップ4 名詞的用法でもなく形容詞的用法でもなければ副詞的用法
3つの例文を使い、用法の解説をします。
1. I want to read something
2. I want something to read
3. I went to the library to read something
ステップ1 英文は前から順番に、意味のかたまりで区切って日本語にする。
1. I/ want/ to read something
わたしは/ほしい/ to read something
2. I/ want /something /to read
わたしは/ほしい/ものを/ to read
3. I/ went /to the library /to read something
わたしは/いった/図書館へ/ to read something
このようにto動詞の原形の表現にぶつかるまで、前から固まりで日本語にしていきます。
ステップ2 名詞的用法の判別をする
名詞的用法の判断は、名詞の判断とやり方と同じです。
To動詞の原形のところをit(それ)にします。
1. I/ want/ to read something
わたしは/~を欲する/ それ →わたしはそれを欲する
2. I/ want /something /to read
わたしは/~を欲する/もの/それ →わたしはものそれを欲する
3. I/ went /to the library /to read something
わたしは/いった/図書館へ/ それ →わたしはそれ図書館に行った
1~3の日本語訳を比べると、1以外の日本語はおかしいですよね?
1は名詞的用法だと判断ができます。
不定詞の名詞的用法は「~すること」という日本訳になります。
だから「わたしは何か読むことを欲する」=「私は何か読むことがしたい(読みたい)」という日本語になります。
ステップ3 名詞的用法ではなかったら、形容詞的用法の判別をする
名詞的用法の判断が終わったら、次は形容詞的用法です。
形容詞の判断のやり方と同じです。
「To+動詞の原形」の部分をit(それ)にかえると、文として成立しません。
加えて、不定詞の形容詞的用法は、直前の名詞を説明します。
前述の例文1~3のうち1以外はitに置き換えても文が成立しませんでした。
例文2・3は名詞的用法以外の形容詞的用法か副詞的用法ということになります。
例文2と3のto readを、直前の名詞につなげて、意味が自然かを確かめます。
2. I/ want /something /to read
わたしは/~を欲する/もの/読む
→読む+もの=読むもの
3. I/ went /to the library /to read something
わたしは/いった/図書館へ/何か読む
→なにか読む+図書館=なにか読む図書館
例文2.は意味が通じるので形容詞的用法だと判断できます。
ステップ4 名詞的用法でもなく形容詞的用法でもなければ副詞的用法
3. I/ went /to the library /to read something
わたしは/いった/図書館へ/なにか読むために
→なにか読むために+いった=なにか読むためにいった。
3は名詞的用法でも形容詞的用法でもないので、副詞的用法です。
副詞の仕事はitに置き換えると文が成立しない+名詞以外の部分につながります。
不定詞の副詞的用法は、中学生では「するために」(目的)または「して」(感情の原因)の2つの日本語訳を学習します。
3の例文では、「なにか読むために」の部分が副詞なので、「いった」という動詞(=名詞以外)を修飾しています。
日本語→英語
以下の日本文を英文に直します。
Ex わたしは英語を勉強しに図書館に行きました。
ステップ1 中1でも英語にできる部分から考える。
主語と動詞を中心に中1生でもかける部分を英語にします。
この例文の場合は、「わたしは図書館に行きました」を英語にします。
I went to the library.
ステップ2 不定詞のかたまりを考える。
「英語を勉強しに」の部分が残ります。
「勉強しに」は「行く」につながるので副詞的用法だと判断できます。
I went to the library to study English.
東都ゼミナールなら
土台がしっかりとした英語力をつけることができる
不定詞から品詞の理解を勉強するのでは遅いです。
東都ゼミナールでは、不定詞の学習を見越して、中1の学習のときから品詞の分類を練習しています。
(小学生の英語講座から受講している生徒には小学生の時から練習しています。)
品詞の分類と不定詞の関係は、ほんの一例です。
東都ゼミナールの英語は、この先に出てくる単元を見通した授業を提供しています。
学習が進めば進むほど、「あっ!だから、そうなるのか‼」という発見と、今までの勉強を土台に、新しい知識が積んでいくためブレない英語力をつけることが可能です。
「わかる」→「できる」にかえる
不定詞の知識だけなら、この記事を読めば十分です。
実際の授業内容も理解しやすいように例文はもっと多く出します。
しかし、この授業で理解してほしい内容は、ほぼこの記事の通りです。
もっとも大切なことは「知識を正しく理解して、運用できるようになるか?」や
「運用できるようにするために練習を行うか?」ということです。
きちんとわかるように導き、できるようにさせるプロセスを提供することが東都ゼミナールなら可能です。
まとめ
文法を勉強する目的=英語⇔日本語を正確に行うため
名詞・副詞・形容詞の判断は手段であり、目的ではない。
だから日本語にしてから用法を考えるのは逆。
①品詞の分類をできるようにする
②中1で作っていた英文を、作ってから不定詞の部分を考える。
今後、動名詞・分詞・関係代名詞・接続詞・文型など不定詞で勉強していた知識をベースに勉強をすると、より英語への理解が深まり、英語を得意にすることができます。
さらに感性だけに頼らない論理をベースとした勉強をすることで、英語をただの語学教育ではなく、考えるという力を育てることも可能にします。
英語の勉強方法や成績で困っていたら、東都ゼミナールにお問い合わせください。
きっと我々はお役に立つことができます。