高校受験 社会公民 勉強法

『社会=暗記科目』ということは改めて指摘するようなことでもないでしょうし、このブログ欄でもずっと述べてきました。

公民分野でも同じです。ただ、初めての“政治・経済”ということで戸惑ったり、難しく感じたりするのではないでしょうか。実際そこまで意識しなくても、聞き慣れない難しい言葉がどんどん出てきた、テレビや新聞やネットで見聞きしたことはあるが、実際目の当たりにしてみるとなんか難しい、と感じることは多いと思います。

初めは身の周りの生活の話が多いなと思っていたら、堅苦しい話になっていって分からなくなってきた、また、高校受験に対してはどのように勉強を進めて行ったらよいのか、などの悩みもあるかと思います。

学校で公民を習い始めるのが遅く、これも不安を感じさせる一因かもしれません。

こんな公民について、ここでは入試に向けての勉強方法を見ていきます。特に都立高校入試の対策を中心に進めます。

目次

やはり暗記

中3になって初めて本格的に習い始める分野でもあり、まずは基礎知識を身につけないとどうにもならないので、必然的に暗記が多くなります。入試まで短期間なうえ、受験勉強も本格的になる時期で他教科の勉強もあり、負担も大きく感じます。

でも覚えておけば問題ないことが多く、応用問題が関わったり詳しいところまで問われたりすることはありません。

用語の暗記も公民に限って量が多いとか、何か特別のものがあるとかいうこともありません。いつもの暗記です。

やはり今までなじみがないとか、言葉の見た目が難しく見えるとか、入試までもう多くの時間が取れないとかで、負担が大きく感じてしまうのです。

では、どうすればよいかについて説明しましょう。

漢字の意味で覚える

難しく感じてしまうのは、用語に漢字が多いこと、さらに4文字、5文字、それ以上の漢字が使われることも珍しくないことにあります。

熟語の表現はかたい感じを与えることが多く、政治や経済の用語となると今までほぼ使うこともなかったので、余計難しく、厄介な印象になってしまうのです。

これを克服する手立ては、『漢字の意味』です。

政治・経済だとか、公民とか深く考えずに、書いてある漢字の意味を取っていきましょう

そのまま用語の意味なのですから、中身が分かります。

これで暗記を進めて下さい。

・男女共同参画社会基本法

男女が対等(→共同)に活躍する(→参画)社会を目指す法律

・小選挙区比例代表並立制

1つの選挙区から1人の代表を選ぶ(→小選挙区)選挙と政党の得票数に応じて議席を配分(代表を選ぶ)する(→比例代表)選挙を合わせて(→並立制)する選挙

・公企業と私企業

利潤を目的としない企業=公企業(東京都水道局→水道、東京都交通局→都営地下鉄・都営バス、国立印刷局→お札の製造)と、利潤を第一の目的とする企業=私企業(→個人の会社、民間の会社など)

漢字の意味なので、社会というより“国語”です。

こんなところで国語の知識が必要になってきます。国語の力が試されているとでも言うべきでしょうか。よく耳にしますが、国語はさまざまなところでかかわってくるということの証左ですね。

ここでは社会がテーマなので、国語のことはこれ以上は深入りしません。

ひと続きの流れで覚える

漢字の意味とともにいくつかの関連する事項を結び付けていきます

公民でも、地理や歴史のように暗記していくわけです。

とにかく暗記するよりも、こうした方が当然身に付きやすいです。

社会科でなくても、暗記の仕方として普通にあることですね。言ってみれば暗記の王道です。

◎労働三権

1 団結権

労働者が労働組合を作る

2 団体交渉権

会社側・使用者側と交渉する

3 団体行動権

要求実現のためにストライキなどの実力行使を行う

労働者に保障されている権利が、漢字の意味から内容がわかりやすいですね。

そして要求実現のため、立場の弱い労働者側が対等の立場で会社側との交渉をする過程そのままの流れです。

◎労働三法

1 労働基準法

労働時間や賃金や休日などの、労働条件の最低基準を設けた法律

2 労働組合法

労働者が組合を作って会社と話し合いができることを保障した法律

3 労働関係調整法

労働者側と会社側で発生する争いごとの解決や予防を目的にした法律

労働者の権利のもとを定めている法律ですが、これも関連を考えて覚えるようにするとやりやすいです。

もちろん漢字からも内容が分かりやすいですね。

図表とともに覚える

公民が特別に図や表が多いというわけではありませんが、地理や歴史に比べると、内容を示す図がバラエティーに富んでいることは確かです。当然、そういう図とともに暗記を進めたほうが頭の中に入りやすいのは言うまでもありません。

また、以下に例を挙げましたが、「需要と供給」のようにグラフと一緒に把握するものもあります。もっとも、「需要と供給」は普通グラフとともにあり、グラフがなくては分かりづらいうえ、半分話にならないので、完全にグラフとセットで覚えるものですが。

・三権分立

立法、行政、司法のかかわりあう部分を示す有名な図ですね。三角形ではなく、円形や四角形の図もあります。覚えやすほう、分かりやすいほうで暗記すればよいです。

そして

“本来独立している立法、行政、司法の三権の役割”を把握したうえで矢印の“干渉部分”を理解する、

『国民』が真ん中にあるのが『国民主権』を示している、

こうすれば一層わかりやすいはずです。

・需要と供給

売る方(供給)は数多く高く売れるほうがよく、買う方(需要)は安いほうがよく、高ければ買う人が少ない。その価格と数量が一致するところが均衡価格、町なかで売られているものの値段。簡単に言えばこの関係を示したグラフです。

言葉とともに、価格や数量との関係、グラフの動きを理解するとわかりやすいはずです。実際のモノ、例えば身近なパンやケーキや弁当で考えればさらに分かりやすくなります。

他には、 「三審制」をはじめ裁判・裁判所

「税金」の種類や納付先、歳入・歳出の割合

も図表が頻出します。

(他にもまだまだ一杯ありますが)

こうして、図表やグラフなどとともに内容暗記、把握することが大きなポイントの一つです。

項目ごとに示される図表が多く、それがそのまま内容を表していることが普通です。難しそうに見える用語や仕組みも、図表とともに把握していくとなかなかわかりやすくなります。

時間も限られている中での効率よい暗記に使わない手はないですね。

数字は特徴で覚える

公民にも負けず劣らず暗記が必要な細かい数字が出てきます。語呂合わせや関連事項や何かの根拠と一緒に覚えられればいいのですが、なかなかそうはいきません。

どうすればよいか。

片っ端から覚えるのではなく、言ってみれば“これは!”というのを覚えておけば、それで結構通用します。特徴あるというわけではないですが、他と違うものを中心に覚えるようにすればやりやすくなります

・被選挙権の年齢

『参議院議員と都道府県知事が30歳以上』

立候補するほうですが、上記2つ以外は25歳以上です。

・任期

『参議院議員の任期は6年』

他は任期は4年です。解散やリコールなどがあれば別ですが、日本の場合は通常は4年です。

参議院は3年ごとに半数を改選しますが、解散がないので当選すれば6年後の選挙まで参議院議員でいることになります。

・地方自治における直接請求

『首長や議員の解職請求、議会の解散請求は有権者の1/3以上の署名が必要』

『条例の制定や改廃、監査請求は有権者の1/50以上の署名が必要』

首長や議会などは、ころころ変わっていては地方自治が滞ってしまうので、解職解散には多くの有権者の意見が必要ということで1/3以上と、数が多いと覚えておく。このようなやり方ができます。

あとこれに関しては、署名の請求先も併せて覚えておきましょう。解職解散の請求先は選挙管理委員会です。解散解職後は選挙が行われる、こうすればわかりやすいですね。

都立入試では細かい数字は問われませんが、問題を解く上での大きな助けになります。確実に正解にたどりつけます。数字的なものはむしろ学校の定期テストで聞かれます。こちらは正確に覚えておく必要があります。

同じことが、衆議院と参議院の定数にも言えます。都立入試では問われません。選挙を含めた仕組みが分かっていれば大丈夫です。学校のテストでは、最新の現時点での定数が出題されることが多いです。もっともそういう場合、授業中にプリントや板書でちゃんと書かれているので、暗記しておけば問題ありません。

政治・経済での特有の用語

最後はこの“専門的な”言葉についてです。こればかりは丸暗記に相当すると言っていいかもしれません。大人になれば日常当たり前の言葉なのですが。

でも、日常身の周りにあることをわざわざ“専門的な”言葉で表現しているだけ、とも言えます。

関連することと結びつける、自分の言葉で言い換える、などすれば覚えやすいと思います。

また、勉強していれば何度も出てくる言葉でもあり、教科書を読めばやはりよく出てくる言葉なので、じきに慣れるという見方もできると思います。

・定足数

議会を開いて話し合いを進め、決を採る(賛成・反対を決める)最少の出席者数

・所得

中3段階の公民では、お給料やお店の売り上げの収入とみていいです。簡単に言えば入ってくるお金のことです。
(税金の関係からいうと『収入』と『所得』は違います。『所得』の種類を理解しておくほうが重要です。)

・歳入・歳出

国や地方公共団体の4月から翌3月(1会計年度という)までの収入と支出。

なお、地方公共団体は地方自治体と同じで、都道府県、市町村のこと。(全部まとめて)

理解がいる

公民の暗記では、この『理解がいる』ことが一番必要です。

地理や歴史でも“ただ暗記”では本当の意味で身につかないという内容のことは、今までにも述べてきましたが、公民は中でも一番理解がいるということです。

暗記の項でも見てきたように、今までなじみのなかった言葉が多い、内容を表す図表が多い、初めて出会う仕組みが多い、などが理由として挙げられます。

ただ、難しく身構える必要はありません。言葉と内容が結びつくようにしておけばよいのです。都立入試では、言葉や指している内容が、説明している文(選択肢)と一致すれば解いていけます。

とにかくまずは、理解して暗記することを心がけましょう

図表については、自分でも書けるようにしておくとよいです。

とはいえ、やはり難しい内容も出てくることでしょう。そういう時はすぐ、学校でも塾でも先生に聞きましょう。親をはじめ、大人に聞くという手もあります。身近で、政治・経済に近い人たちです。

また、今はネットでも簡単に調べられるので、これを使う手もあります。

ただ情報が大量にあるので、簡単で分かりやすいものを見つけるようにするとよいです。

直接、省庁や自治体の役所のホームページにつながることもできますが、本格的専門的に載っている場合と、わかりやすく解説してある場合と両方あります。

ネットで調べる場合は、よく見極める必要があります。

習ってから入試まで一番期間が短い科目でもあるので、しっかり身に着けておけば、十分対応できる有利な科目とも言えます。

こう考えればやりやすいとも取れます。ぜひ頑張って下さい。

都立高校入試対策

ここでは都立高校入試での「公民」がどのような出題で、どのような対応をしていけばよいのかを紹介していきます。

特徴

  • 数行にわたって書かれている文章をもとに設問に合う内容を答える(選択問題)
  • これに図表やグラフが加わり、やはり設問に合う内容を答えたり、読み取れることや設問の条件に合うことを記述形式で答える
  • 設問文を含めた問題文全体が非常に長い

マークシート方式になってから語句を答える問題がなくなっているほかは、この傾向がずっと続いています。

地理、歴史も同様で、社会科全体に言える傾向です。もっと言えば、理科も同様で、都立高校の理科・社会科はたびたび指摘している通り、長い問題文に惑わされることなく解き進めていくこともポイントの1つです。

問題文が長いだけで、問われていることは基礎的なことがとても多いのです。大問の中の2~3の小問のうち最後の問題が、やや応用的なことがあるだけです。

では実際にはどのようなものかを「特徴」に沿って見ていきましょう。

用語・設問に合う内容を答える

基礎知識を聞く問題、用語がわかっているかを聞く問題、基礎事項の内容が理解できているかを聞く問題です。初めのほうの小問がこれです。2つのタイプがあります。

1つ目はズバリ基礎知識を問うものです。

数行の文章もなく、設問に従って即答するような、一問一答タイプです。マークシート導入前はこのタイプの出題で語句を書くというのがありました。

正確な暗記が確実に正解にたどりつくカギです。

なお、語句の選択はほとんどなく、当てはまる内容を選ぶというかたちです。

2つ目は確実に内容を理解しているかを問うものです。

数行の文章や、語句や言葉をも示して、当てはまるものを答えさせるものです。この場合、選択の文もわりあい長くなります。国語の選択問題にあるような、各選択肢が3行くらいの長さになります。

でも問題ありません。先述のように言葉とその内容が結び付けられていれば解けます。選択肢の文が長くても、そこは全て答えとなることが書かれています。(当てはまらないものは、違うことの内容すべてが書かれている)実はこれが都立入試のポイントでもあり、選択肢の文中はヒントだらけなのです。暗記できていればいるほど、確実に正解に行きつけるのです。

主な出題事例

●自由権、平等権、社会権といった基本的人権

●国会、内閣の仕事やしくみ、裁判について

●選挙や地方自治、条例

●労働基準法関連

●株式会社について

●社会資本、公共料金

●日本銀行と一般の銀行

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図表やグラフの読み取り・記述

都立入試の最大の特徴といえます。

過去問をやり始めたら、社会科はこの練習を繰り返すことが大きなポイントです。

ここに暗記事項が加わることで、こちらも確実に正解にたどりつけられます。

読み取りといっても、初めからすべて一人でやるというようなことではありません。設問に手順が書いてあるといってもいいくらいです。それに従ってたどっていけばよいのです。言ってみれば、“マニュアル”があって、その通りに見ていけば問題ないという感じです。

そこに暗記事項をプラスして、確実に正解、というわけです。

設問には、図表やグラフがどのようなことを示しているのか、表の各欄に示されていることが何か、折れ線グラフや棒グラフの細かな表示内容など、手取り足取り書いてあります。

これにさらにお得意の、数行の文章が加わることが多いです。ここにもヒントが多く書かれていて、参考になることが多くやりやすくなっています。

あとは聞かれていることに沿って答えるだけです。余計なことはせずに、聞かれていることに対して素直に答えればいいのです。加えて暗記がしっかりしていれば確実に答えられます。

記述は字数の制限はありません。50字くらいで書くことになりますが、今書いてきたことを守って書いていくと、大体そのくらいで収まります。国語の要約のように難しく考えずに、普通に書いていけば大丈夫です。これは過去問をやり始めてからの反復練習で書けるようになります。

あえて言えば、時事問題的な教養が必要な場合があることです。最近このかたちが見られます。こういうところで、普段のニュースとか、世の中の出来事に触れているかを確かめていると言えるかもしれません。

主な出題事例

●生産年齢人口の減少について

●被保険者・受給者と国民年金のバランス

●地域の振興と政策

●過去30年間の経済成長率

●CO2削減の政策

●労働に関する意識調査

●循環型社会の実現について

時事問題

時事問題といっても、都立入試では直近の出来事については出ません。出るとしても、すでに長く言われていてなお現実的な問題でもあるものです。少子高齢化問題や、地球温暖化対策といったものです。

学校で出題されるような政治・経済的な大きな出来事は、7~8年や10年くらいたってからというような傾向が見られます。例えば、固有名詞こそありませんでしたが、リーマンショック前後の経済成長について、なかなか詳しい出題がありました。他にも図表で示せる大きな変動があった出来事は、少しの時を経て出題というのが、あり得るといえます。

もっとも、マニュアル、ヒントだらけの出題ですから、図表で変化がはっきり読み取れる(→大きな出来事)というほうが出題の意図のように思えます。

これも暗記と同じように、把握しておけば解く助けになるとみて、世の中の出来事にも気を付けておくようにするとよいでしょう。

東都ゼミナールでココが解決できる

暗記のやり方、都立入試の内容を述べてきましたが、ここに書いたものだけでは十分ではないことが多々あります。

政治・経済で使う用語はもっとあります。

くわしい仕組みとなるとややこしいこともあります。

記述問題は表現が違っても問題ない場合も、正しい書き方にしないといけない場合もあります。

一人だとわからなくなったり、迷ったりすることが出てきます。

判断に困っていると、その分時間が無駄に過ぎてしまいます。

塾では、いつでもすぐに疑問点を解決できます。

ポイントや、コツも伝えられます。

学校の勉強、受験対策とも大いに活用できるところが東都ゼミナールで勉強する利点です。

困ったり、悩んだりするようなら、ぜひ東都ゼミナールにご相談下さい。

まとめ

高校受験の社会科公民の勉強法、いかがでしたでしょうか。

  • 用語の暗記
    関連することと結びつけることが大きなポイント
  • 理解を伴うこと
    これができれば勉強の進みも早い
  • 都立高校入試対策
    特殊だが、対策がわかると実はやりやすい

この3つを軸に、受験対策を進めていきましょう。

身周りの出来事や身近な話題にも目を向けられるようにすると、公民の勉強がより一層やりやすくなります!

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