都立高校への進学を希望する方だけではなく、私立高校への入学を希望する方にとっても高い内申点の方が選択肢は広がります。
通知表の見方と内申点の上げ方について紹介します。
通知表の見方は2つのグループに分ける
通知表は1~5の評定の横に観点別に「知能・技能」「思考・判断・表現」「主体的に取り組む態度」の3つのカテゴリーがあります。
この3つは、「知能・技能」「思考・判断・表現」の能力をみる評価項目と「主体的に取り組む態度」の姿勢をみる評価項目の2つのグループに分類できます。
「知能・技能」や「思考・判断・表現」からわかること
「知能・技能」や「思考・判断・表現」は、定期テストの点数・提出物や作品の質を評価しています。
この項目は、主要5科目では、テストの点数と連動します。
テストで高得点を取れば高く評価されます。
多くの先生は定期テストの項目に、「知能」だけではなく、「思考」や「表現」もはかれる問題を作っています。
たとえば、英語のテストでは、ワークの類題を出題して、知能・技能を評価します。
データ読み取り問題を出題することで、思考や判断を評価することができます。
自由英作文は表現を判断することができます。
理系科目だと表現を判断するのは難しいですが、応用問題を出題することで、思考を試すことができます。
「知能・技能」と「思考・判断・表現」の項目は、定期テストで判断できます。
もし定期テストが高得点なのに、評定が低いなら、提出物の質に問題がある可能性が高いです。
一方、実技科目ではテストの点数はそれほど評価に大きな影響を与えません。
評価されるのは、作品のクオリティーや技術です。
塾生のなかにも定期テストで100点を取っても評定に「2」がついた生徒や、30点しか取れなくても「5」がつく生徒もいます。
突然、運動が苦手な子どもが得意になることや、不器用な子どもが器用になることはないので、才能が評価されるといっても過言ではないと思います。
授業態度はとても真面目で、定期テストは毎回95点以上を3年間続けても、体育は卒業まで「3」という子ども達は何人もいます。
「主体的に取り組む態度」
主体的に取り組む態度は、授業への姿勢を評価しています。
どのように授業を受けているか?
提出物はきちんと出しているか?
発言・挙手など積極的に授業に参加しようとしているか?
などのテストの点数では、わからない部分を評価しています。
しかし、実際に生徒たちの通知表を見比べてみると、主要5科目であればテストの点数、実技科目であれば実技が得意な子どもほど、「主体的に取り組む態度」は高い評価を受けています。
これは当たり前の話ですよね。
たとえば、数学の授業で「この問題の答えをわかる人?」と聞かれたときに、積極的に手を挙げるのは数学の得意な子どもです。
苦手な子どもは、わからないので挙げられませんよね。
また、体育の授業中に、バスケをやっても、苦手な子どもは積極的にパスを要求しないはずです。
保護者が子どもに「あなたは、数学は苦手でテストの点数が低いのだから、積極的に手を挙げて、先生からの評価を上げなさい。」というのは、現実的ではありません
子どもだって、わかれば手を挙げるはずです。
「知能・技能」や「思考・判断・表現」の評価を上げる方法
評価の基準と評価する権限は先生にある
「知能・技能」や「思考・判断・表現」の項目を上げるには、英語や数学などの主要5科目では、定期テストの点数を上げることが必須です。
学生である以上、学習内容の定着が評価の基本になります。
テストの点数に、提出物や作品の質が加わることで最高評価を得ることができます。
ここで問題になるのが「質」です。
質は、主観的なもので、子どもが思う合格点と先生の思う合格点が異なります。
この認識の違いが、期待した評価と実際の評価のズレにつながります。
理解しなければいけないのは、2つです。
・先生と自分の評価基準は違う
・評価する権限は先生にある
この2つを認識すると、自分がやるべきことが見えてきませんか?
「あの先生わかってない!」
「ひいきして、正当な評価をしてくれない。」
「変わっている先生だからしようがない。」
と不満をいっても評価は上がりません。
評価を上げるには、先生と自分とのズレを認識して、そのズレを矯正することが必要です。
ズレを修正する方法
ズレを修正する方法は「先生の話をよく聞く」「わからないことは質問する」の2つです。
できていない子どもが、非常に多いです。
まずは、授業中の先生の話を聞きましょう。
授業で先生は指示しているはずです。
それでも、聞いていたつもりになっていることや、一度聞いただけでは理解できないこと、先生が話さなかった可能性もあります。
そのときは、先生に質問しましょう。
ノートや作品の提出を求められたときに、自分の中で先生の要求している水準が把握できないときは、どこを重要視するのか?を質問しましょう。
先生とコミュニケーションをしっかりとることで、先生の基準を把握できるので高評価をもらうことができます。
評価が高い子どもほど、先生の要求を把握するために質問や確認をするので、先生とのコミュニケーションが増えます。
先生から目をかけてもらっている子どもは、先生との関係が良好なことが多いです。
この光景を見て、3年生の1学期終了時や2年生の学年末テストが終わった後に、「○○君みたいに、これからは先生にたくさん質問する!」と息巻く子どもがいます。
無駄なので、やめましょう。
質問の回数を増やしても評価は上がらないし、先生との関係が良好にもなりません。
質問ばかりしてきて、全く行動が改善されない子どもが評価されるわけありません。
たとえば、「先生!ノートは色を使ってかいた方がいいですか??」と質問したら「先生が、色を使って書いた方が見やすいから、その方が良いね」とアドバイスしたとします。
ところが提出されたノートを見ると、色を一切使っていない真っ黒いノートだとしたら、先生はどう思うでしょうか?
質問した内容は、しっかりと行動に活かしましょう。
実際に成績の良い子どもがやっていること
成績の良い子どもは、先生から受けたアドバイスの本質をとらえた行動をします。
先ほど紹介した「ノートは色を使った方がいいですか?」という質問に対して、「先生が色を使った方が見やすいから、その方がいいね」とアドバイスした例をつかい、評価が低い子どもと評価の高い子どもの比較をします。
パターン1:評価が上がらない子ども
評価が上がらない子どもは、先生のアドバイスを全く活かしません。
色を使わない。
ところどころ抜けている。
字も汚い。
先生は、なんのためにアドバイスをしたのかと悲しくなるような子どもです。
どれだけ先生に質問してコミュニケーションを取ったところで、評価は上がりません。
パターン2:評価が上がる可能性はあるけど、テストの点数が上がらない子ども
比較的、女の子に多いケースです。
先生が色を使った方がいいと言ったからと、必要以上にカラフルなノートに仕上げる子どもです。
時間が無限にあるなら、それでもいいです。
しかし、中3であれば受験勉強があります。中1,2は部活や勉強と並行しながらノートの提出をすると思います。
優先順位や目的を考えると行動がずれています。
このタイプは、たとえば4が欲しいのに、定期テストは60点台など、そもそも評価のベースとなる定期テストの点数が低い傾向にあります。
パターン3:評価の高い子ども
この例だと先生は「色を使った方が見やすいから、色を使った方がいいね」といっています。
このアドバイスに対して、パターン2の子どもは「色を使った方が良い」という解釈をしています。
一方、評価の高い子どもは、本質をとらえているので「見やすい」の方に行動のウェイトを置きます。
ノートが見やすければ色は最低限でよく、重要な単語に赤を使えば十分です。
むしろ大切なのは、文字のサイズ、ノートの隙間、字の読みやすさ、授業の単元と単元をつなぐための、授業で聞いた内容の書き込みをすることになります。
結果、先生からの評価が上がるだけではなく、授業を集中して聞くため、授業でのパフォーマンスは上がり、後で読み返しても授業内容を思い出しやすいノートになります。
気付きましたか?
今、紹介した一連の行動は、「主体的に取り組む態度」の高評価につながります。
手を挙げることや先生に質問することだけに価値はありません。
今の自分を少しでも良くするために自分で行動する子どもを、きっと先生は放置しないはずです。
「主体的に取り組む態度」の評価を上げる方法
主体的に取り組む態度がBのときとCのときでは対応が異なります。
CをBにする方法
主体的に取り組む行動の項目にCがついているなら、かなり授業態度が悪いと思った方がいいです。
授業中に積極的に発言せず、提出物を出すだけでも、Bはつきます。
Cがついている子どもは提出物を出していない。
提出していても、期限に遅れている。
または、提出物の内容に抜けがあるなどが考えられます。
また授業中に後ろを向いて話していたり、授業に一切参加せずに、友達と話していたり、邪魔をしている子どもはCがつきます。
CをBにするには、以下の2点を行いましょう。
- 学校での授業の態度を改める
- 提出物は期限を厳守して、すべて提出する
この2つを直すだけでBになるはずです。
ただ、「主体的に学習に取り組む態度」がCだと改善が難しいのが現実です。
なぜなら、授業態度が悪いことも提出物を出していないことも中学生なら自覚があります。
周りの大人がいくら言ったところで、子ども自身がわかっていて、提出物を出さないので、なかなか改善しません。
また、親が子どもの代わりに管理するのも非常に難しいです。
小学校と違い、生徒と教師間だけの伝達が増えるため、子どもから上がってこない情報を親が掴むことはできません。
親が子どもに、「提出物ない?ノートちゃんと出している?」と聞いても、しっかり提出している子どもも、全く提出しない子どもも「ちゃんとやってるよ。」以外の返答をしません。
卒業生の中には、見かねた保護者が、学校に毎週電話して、担当の先生に提出物の有無を確認している方がいました。
そのケースでは、最終的にCはなくなりました。
オススメはしませんが、本気で評定を上げたいなら、これぐらい労力をかけなくてはいけないのかもしれません。
「主体的に取り組む態度」にCがついたら、提出物の管理などは、子ども任せにしないで、親や塾が一緒に行わないと改善はむずかしいです。
子どもに自覚がないことが多いので、改善するのにとても時間がかかります。
3年生から取り組んでも、以前よりは改善しますが、大きな成果を上げづらいです。
BをAにする方法
BをAにする方法を特定するのは、非常に難しいです。
Cをつけるほど悪くないからBなのか、Aをつけるほど良くないからBなのかによって、対応が変わるからです。
自分の立ち位置や、改善策を知るには、授業担当の先生に質問しましょう。
もっとも早くて、確実です。
評定が高い友達のマネをするのも有効です。
できている人を観察することで視野が広がります。
よく観察することで、自分に足らないものが見えてくるはずです。
まとめ
中学生にとって、高い内申点は高校受験に必要です。
内申点を上げるための方法は
「知能・技能」「思考・判断・表現」が低いなら
1.テストの点数を上げる
2.提出物のクオリティーを上げる
「主体的に取り組む態度」が低いなら
1.学校での授業の態度を改める
2.提出物は期限を厳守して、すべて提出する
人が人を評価する以上、いつも自身が納得できる評価をされるとは限りません。
テストの点数が取れていないときと同じです。
今までのやり方や量では、期待する評価を得るには足らないということです。
納得できないときにとれる行動の選択肢は、「あきらめる」と「変わる」の2択です。
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