子どもがやりたいことは、思いっきりやらせたい。
だけど「勉強しなさい。」や「宿題やりなさい。」と言ってしまう。
仕事や家事の疲労に加えて、子どもを叱ると疲れはさらに増しますよね。
一方、子どもも親との会話を面倒くさいと感じる時期に、親から叱られてばかりいたら、親との会話がますます嫌になるようです。
多くの子どもは、勉強をしなくてもいいと思っているわけではありません。
しかし、勉強しようと思いながら、ほとんどの子どもはゲーム、YouTube、SNSを見ながらダラダラ過ごします。
言わなくても子どもが自ら勉強すれば、親のイライラの原因が一つ減ります。
そして親から叱られなければ、子どももイライラしないで済むので、良好な親子関係が築けます。
少なくとも嫌な気持ちになることは、格段に減るはずです。
「勉強しなさい」「宿題やりなさい」と叱ることから解放される方法を紹介します。
問題解決に必要な前提
「勉強しなさい!」と言わなくて済むためには、子どもに下記のどちらかの要素は必要です。
子ども自身が勉強の必要性を理解している
習慣化するまでに最初の1カ月くらいは、大なり小なりストレスがかかります。
そのストレスを乗り越えるには、子ども自身が「成績上げたい」、「勉強の習慣を作りたい」、「もっと時間を有効的に使いたい」など勉強に向かう気持ちは必要です。
子ども自身にもっと成長したいと思う気持ちがないと、親子で目標が共有できないので、だらしない生活を改善することはできません。
子どもが素直に親の言うことを聞ける
中1の夏前までなら間に合う可能性もあります。
それ以降だと中学生活が習慣化されて、さらに子どもの自我が強くなるので親の言うことを聞かなくなります。
この状態だと親主導での改善は、非常に厳しいです。
解決方法
やらないことを決める
1日のスケジュール(タスクと時間)を決めるのは非常に難しいです。
子どもの場合、一日のスケジュール作成だけで、とても時間がかかります。
そこで「やること」をスケジュール化するのではなく、「やらないこと」をリスト化します。
やらないことを決めて、行動をシンプルにするとダラダラしなくなる可能性があります。
たとえば「ゲームはしない」「ソファーに座らない」「自分の部屋に行かない」「スマホに触らない」など、やらないことを明文化すればダラダラできる選択肢が減ります。
何かを始めるには積極的な行動が必要です。しかし、やらないことに積極性は必要ありません。
もし頑張りたい気持ちがあるのに、ついスマホを見てしまうというような場合には、スマホを触らないと決めることで問題解決につながる可能性があります。
頑張らない=習慣化する
「頑張る」という気持ちを勉強のモチベーションにすると、多くの場合失敗します。
なぜなら、学力上位層は勉強を頑張っていません。
「頭がいいから、頑張らなくても点数が取れる」という意味ではありません。
学力上位層のほうが、他の生徒と比べると勉強時間は長いし、覚えた単語量や進めたテキストのページ数も多いです。
たしかに「一を聞いて、十を知る」という子どももいます。
しかし、多くの学力上位の子どもは、少ない量で多くの知識を習得しているのではなく、練習量が多いので習得している知識の量も他の子どもに比べて多いです。
多くの学力上位層の子どもは、勉強をすることが当たり前になっているので、勉強をするという行動に意欲を持っていません。
この状態に持っていくことができれば、勉強にモチベーションが必要なくなります。
習慣化するために有効な方法が、行動の順番を決めることです。
たとえば、代表的な親子喧嘩のトピックに「早くお風呂に入りなさい」があります。
早くお風呂に入って寝る準備をしてほしい親は、いつまでもダラダラしている子どもを見ているとイライラします。
子どもも、お風呂に入るつもりなのに、ガミガミうるさい親にイライラします。
結果、子どもは親を無視したり、親子で口論になります。
一方、「早く歯を磨きなさい」という親子喧嘩のトピックはあまりありません。
親が言わなくても、多くの子どもは寝る前に歯を磨くからです。
「歯を磨く」→「寝る」という動作がセットになっているので、親が言わなくても子どもは勝手に歯を磨きます。
行動を順番化することで、行動を自動化することができます。
たとえば「歯を磨く→風呂に入る→寝る」というセットでもいいですし、「帰宅する→風呂に入る→食事」というセットでもいいです。ご自身の生活サイクルに合わせて順番化することで、解決できる可能性があります。
一連の流れの中に「勉強」の項目を入れて、継続できれば問題解決です。
ダラダラできない環境を作る、または身を置く
どうしてもスマホをいつまでも使ってしまう、動画をずっと見てしまうなど自分では解決できないなら、ダラダラできない環境に身を置くことで解決できる可能性があります。
塾の自習室や学校の図書館などが選択肢の一つです。
家だけで改善するのは、非常に難しいです。
親世代と違い「暇だから勉強でもするか」という状況にはなりません。
暇をつぶせる道具はいくらでもあります。
また家で解決をしようと時間をかけるほど、悪い習慣が身につきます。
習慣化された行動は長ければ長いほど、改善に時間がかかります。
本気で改善したいなら環境を変えることが、最も効果的な選択ではないでしょうか。
事例紹介
とてもだらしのない卒業生がいました。
その卒業生が中学1年生の時の話です。
朝は自分では起きられない。支度をするのもダラダラ。いつも遅刻ギリギリか、親が油断した日は遅刻。
家に帰ってきたら、ソファーにずっと寝っ転がって、ダラダラ。お風呂にはいつまでも入らない。
散々、親が促してやっと動き出すという状況でした。
その状況で塾の時間が一週間のスケジュールに加わると、帰る時間はさらに遅くなるため、余計に寝る時間が遅くなります。
翌朝も眠くなり、朝からダラダラすることになって一日がダラダラするということでした。
子どもが思い通りに動かないのもイライラするし、子どもの将来のことを考えても今の状況は良くないし、自分の精神衛生上も良くないということで、子どもと話し合いをしたらしいです。
実際に行ったことが以下の3点。
①親子で話し合い、とりあえず1日だけ子どものスケジュールを作ってみる。
子どもに作りなさいというのではなく、親子で一緒にスケジュールを作ったようです。
「あれもやりなさい。」「これもやりなさい。」ということは言わずに、子どもが決めたことを尊重することを意識したようです。
②スケジュールを決める前に親子で共通認識をもつ。
スケジュール作成の目的を子どもが認識しないと、子どもは親に支配されていると感じて反発するのでうまくいきません。
・親は叱りたくないし、子どもも叱られたくないということ
・子どもが時間管理をしっかりすることで、親は叱らずに済むということ
・これが守られれば、お互いがイライラしない良い関係になれるということ
このようなメリットを共有することを確認したようです。
③破った場合のペナルティーと親子で定期的に状況を共有するための話し合いの時間と場所の設置
継続することが大切なので、スケジュール作成の日を事前に決めていました。
毎週日曜日21時に一週間のスケジュールを作ったようです。
継続していくと、徐々に子どもの行動が良くなっていったようです。
最初は決めた内容を、週1回すら守れなかったのが、毎週反省会を行うことで、週1から週2、週3と増えていき、最終的には親が何も言わずとも子どもが自走できるようになったようです。
ほかにも、反省会では議事録のようなものを作り記録したり、決めた日の行動については、その場では親は何も言わずに、時間とできごとをただノートに記録して反省会のときに伝えたりと色々な工夫をしていたようです。
これだけ細かいことを継続的にできるなら、行動改善も可能だと思いました。
他にも成功の要因として、まだ子どもが素直だったこと、子どもが勉強の必要性を感じていたことなど、子どもの素養も噛み合っての成功事例なので、「いつでも」「だれにでも」うまくいく方法ではないと思います。
習慣を変えるには、かなりの忍耐が必要なことがわかる事例ではないでしょうか。
まとめ
勉強しろと言わないための方法は3つ。
1.子ども自身が勉強の必要性を理解している
2.子どもが素直に親の言うことを聞ける
1.やらないことを決める
2.頑張らない=習慣化する
3.ダラダラできない環境を作る、または身を置く
家だけで改善するのは、非常に難しいです。
親世代と違い「暇だから勉強でもするか」という状況にはなりません。暇をつぶせる道具はいくらでもあります。
また家で解決をしようと時間をかけるほど、悪い習慣が身につきます。
習慣化された行動は長ければ長いほど、改善に時間がかかります。
本気で改善したいなら環境を変えることが、最も効果的な選択ではないでしょうか。
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