高校受験で併願校を決めるために知っておくべき3つのこと

都立高校が第一志望だけど学校からすべり止めの私立を探すように言われた。

併願優遇の学校を選びたいけど学校がたくさんありすぎて選び方が分からない。

併願と併願優遇ってちがうの??

単願とか併願とか受験用語が多すぎて訳が分からない

高校受験での併願は制度の理解や併願の決め方など悩みが多岐にわたります。

面倒くさいから適当に近場の高校でいいやと決める方も多くいます。

しかし併願校の決め方はとても大切です。

都立の倍率をみると平均で3人に1人くらいは都立高校を不合格になります。

人気の都立高校になると3人中2人が不合格になります。

第一志望以外の高校に行く可能性は低くありません。

だから3年間通う可能性のある学校は慎重に選ぶ必要があります。

高校受験の入試制度は地域や時代で変わるため、制度の意味が分からないことや友人から聞いた話と違うということもよくあります。

学校の先生ですら10年前の入試制度の知識で進路指導をしていたケースもあります。

この記事では高校受験での高校受験での併願校の基本的に知識と併願校の決めるために知っておきたい10個のことについて紹介します。

目次

実は簡単‼推薦・単願・併願・一般・併願優遇・併願推薦のちがい

高校受験の話をするといろいろな単語が飛び交います。

まずは「推薦」・「単願」・「併願」・「一般」・「併願優遇」・「併願推薦」・「推薦」の言葉の意味について説明します。

(1)一般=一般入試のこと。当日の学科テストの点数で合否を判断する入試制度

(2)推薦=東京都では推薦と単願は同じ意味です。

一般入試と違い高校の指定する通知表の評定基準に達していれば出願できます。

推薦入試は第一志望の高校に出願するのが原則のため合格したら、その高校に進学しなければいけません。

(3)併願推薦=むかしの入試制度です。現在は存在しません。

「推薦」という言葉は東京都の高校入試では単願しかないため推薦=単願という理解で問題ありません。

(4)併願=併願には2つの意味があります。

①第一志望以外の高校を受験するという意味。

②併願優遇という制度を短縮した表現。

併願という言葉は①の意味で使うのが本来ですが、②の意味で使うことのほうが多いです。

この2つの言葉をあいまいに使うことが高校入試の制度を複雑に感じさせる原因のひとつになっています。

(5)併願優遇=高校の指定する基準を満たしている場合、合格の内定がでている一般入試のひとつ。

中学校の先生が高校にお願いして合格の内定をもらうため推薦に見えます。

しかし当日の学力テストで合否が判定されるため一般入試の一つです。

以前あった併願推薦という入試制度が「推薦」「併願優遇」「併願入試」「併願校」という言葉の区別を難しくさせています。

覚えておくポイントは

推薦制度は単願のみ。

併願優遇は高校が要求する基準に達していたらほぼ100%合格できる一般入試

併願という言葉は第一希望以外の高校を受験することを意味するけど実際は併願優遇とメチャクチャにつかわれるケースが多い

併願優遇で知っておくべき7つのこと

併願優遇制度の変遷

(1)はじまり=高校浪人をしないための保険

併願優遇は都立高校に進学したい子どもを対象に公立高校が不合格だったときの保険として始まった制度でした。

併願優遇の条件

①通知表で一定の基準を満たすこと。

②都立以外の高校を受験してはいけないこと

③都立高校が不合格の場合、絶対に併願優遇の私立高校に進学すること

この3つを条件に中学校と高校のあいだで併願優遇という制度が始まりました。

受験生にとっては自分が希望する都立に挑戦できて、不合格でも高校浪人をしないで済むというメリットがありました。

保護者にとっても併願優遇での合格の場合、入学金を都立高校の発表まで待ってくれるので、余計な費用がかからないというメリットがありました。

私立高校には生徒確保と受験料を徴収できるというメリットがありました。

中学校にとっても中学浪人を出すことが一番避けたいことです。合格を確約してくれることはメリットでした。

受験生・保護者・高校・中学校…高校受験に関係するすべてにメリットがある素晴らしいシステムのように思えました。

(2)中期=高校にとってメリットが少なくなった

ところが何年か経つと制度の弊害を高校が感じるようになりました。

通知表でのみ併願優遇の可否を判断していたため高校が質の高い生徒をとれないという問題です。

通知表の評価は地域によって大きく異なります。

たとえば江戸川区と新宿区の評定を比較すると全く違います。

新宿区は通知表のつけ方が厳しいです。

江戸川区の中学校でオール4の子どもと新宿区でオール3の子どもの模試の偏差値を比べると新宿区のオール3の子どものほうが高いということがよくあります。

そうなると入学してくる子どもは内申点のわりに学力が高くないため、3年後の大学受験で高い合格実績を出すことができません。

私立高校にとっては大学の合格実績は重要な問題です。

そこで通知表だけで判断することをやめて、本当の学力を把握するためにVもぎなどの公開模試の結果を併願優遇の判断材料に加えることにしました。

学校の評定は低いけど点数が取れる子どもが入学することで大学受験の合格実績をあげることを目指しました。

さらに通知表で併願優遇の可否を判断するときの基準が引き上げられました。

併願優遇の基準はどのレベルの私立高校でもオール3は必須。

偏差値が60を超える高校になるとオール4程度が必要になりました。

(3)現在=受験生に割高感のある併願優遇

併願優遇に必要な偏差値や評定の基準が上がったため今度は受験生にとって併願優遇のメリットが感じられなくなりました。

たとえば偏差値60の子どもが併願優遇を取れる学校は偏差値50~55くらいです。

実力相応の高校に行きたいと考える受験生にとっては併願優遇の高校に魅力を感じられません。

さらに私立高校を第一志望にする受験生にとっては併願優遇の適用がありません。

淑徳巣鴨、東京成徳、関東一高などは

①私立が第一志望でもOK

②学校も好きなだけ受験してOK

③全部不合格だったら、うちの高校に来てください。

という併願優遇を始めました。

これらは成績上位層を取り込むための施策です。

ただ高校としては一定数の生徒を確保し、なるべく多くの受験料も徴収したいという思惑もあります。

そこで模試の結果も通知表の評定も基準に足りていない場合、英検3級取得、部活を3年間継続、皆勤賞、生徒会役員などの経験があれば通知表に1点加点という措置を取ることで幅広い学力層から生徒を取り込むことをする高校もあります。

このように制度の名前は同じでも時代の流れとともに中身が少しずつ変わってきました。

塾では毎年のことなので制度が変わっていることを把握しています。

しかし中学校の先生は3年生を送り出すと一年生の担当に戻るため受験には3年に一回しか携わりません。

制度が変わっていることを知らずに「併願優遇をとるなら都立しか受けられない」や「私立の併願はできない」という進路指導をする中学校の先生もいるようです。

併願優遇を取るためにやること

(1)併願優遇をやっている学校と基準を調べる

中学校や塾で聞けばある程度の情報は分かります。

ただ時期によっては、その年度の基準が発表されていないこともあります。

一番早いのは併願優遇を行っている学校を塾や中学校から聞いて、気になる高校の説明会やHPで今年度の基準を調べる必要があります。

(2)個別相談会に模試の結果や通知表の結果を持っていき高校の先生と相談する。

内申点で基準に達している場合は必ずやらなければいけないことではありません。

中学校の先生との面談の時に併願優遇を取りたい学校を伝えれば大丈夫です。

模試の結果で併願優遇を取りたい場合は、各高校が主催する個別相談会に模試の結果を持参して高校の先生と面談して併願優遇が欲しいことを伝える必要があります。

(3)個別相談会で併願優遇の確約がでたら中学校の先生との三者面談で併願優遇が取れている旨を伝える

併願優遇は中学校が高校にお願いする形式です。

中学校に伝えないと高校にお願いに行けません。

(4)一般入試の出願をして当日は真面目に受験する

基本的には100%合格するはずです。

ただ、だらしない服装で試験を受けたり白紙答案を提出したりすると不合格になる可能性はあります。

併願優遇のメリット

高校浪人の心配がなくなるので安心して第一希望の高校を受験できる

都立高校の合格発表の翌日まで入学手続きを待ってくれるので余計な費用がかからない

併願優遇のデメリット

子どもの実力以下の高校になる可能性がある。

併願優遇という制度は第一希望で入学する子どもに比べて高い学力を受験生に要求します。

高校が指定する基準は模試の偏差値も通知表の評定も単願に比べて2~3ポイント高いです。

受験日を1日使わないといけない

併願優遇のために受験日を1日使わないといけないので自分が希望する学校を受験するチャンスを1回減らさなければいけません。

併願優遇をおすすめする人

入試に絶対はないので併願優遇は全員取った方がいいです。

特におすすめする人は通知表の評定がオール3で模試のWもぎやVもぎの偏差値が55以下の子ども。

併願優遇の高校が実力相応校の可能性が高いです。

つぎにおすすめするのが通知表の評定はオール4以上でWもぎやVもぎ偏差値が60以下の子ども。

都立高校だと城東高校がボーダーラインの成績層です。

オール4以上あれば日東駒専レベルの併願優遇が取れるはずです。

仮に都立高校が不合格でも中堅レベルの大学付属へは入学できるので大学受験を目的にしない高校生活を送れます。

併願優遇をおすすめできない人

まずはVもぎやWもぎの偏差値が70前後の子ども。

一般入試で私立高校も幅広く受験していくことをおすすめします。

デメリットとしては難関私立高校用の特別なトレーニングをしなければいけません。

それでも公立高校と併願優遇の2つしか受験しないのはもったいないです。

都立高校が不合格の場合に実力相応の高校はかなり限定されます。

つぎが内申点は低いけど得点力がある子ども。

偏差値が60以上あれば併願優遇を行っていない高校への一般入試もおすすめします。

ただ偏差値60くらいの子どもは70以上の子どもと違って模試の結果を使用して併願優遇を取っておくことは必須です。

併願優遇に加えて、ほかにも一般入試で2~3校併願受験をしたほうが第一志望が不合格でも子どもの実力に見合った高校に進学できる可能性が上がります。

併願優遇校の決め方

大学進学を希望しないのであれば校風、学校のイベント、高校へのアクセスなどを基準に決めればよいです。

多くの学力層で納得のいく併願優遇校はないため、大学進学を希望するなら併願優遇の学校選びはとても難しいです。

大学進学の実績を本命の高校と比較すると大きく見劣りする高校しかありません。

たとえばMARCHレベルの大学に卒業生の半数が進学する高校を希望する子どもが取れる併願優遇の高校は卒業生の半数が日東駒専レベルの大学に進学する高校です。

一方、大学では日東駒専レベルに進学したいと考えている学力レベルの子どもにとっては基準が高くて届かないのでワンランク落とさないと併願優遇の基準に届いていません。

解決策

①制度趣旨を理解して受け入れる。

そもそも併願優遇とは納得のいく高校受験をするための制度ではなく高校浪人をさせないための制度です。

実力より下の高校に行くことになっても運がなかったとあきらめるというのも一つの選択肢です。

②併願優遇以外の私立も併願受験する。

なるべく第一志望に学力レベルが近い私立を合格しておくことで第一志望が不合格でも第一志望の高校近い環境で高校生活を送ることが可能になります。

ひとつでも多くのチャンスを与えることで子どもの頑張りを正当に評価できます。

さらに私立高校に進学するならすこしでも子どもに合う環境で3年間を過ごしたほうがよいのではないでしょうか。

併願優遇以外の併願校受験のために必要な準備と条件

ただ併願優遇以外の私立高校を受験するためには条件があります。

私立高校と都立高校では問題が全然違います。

私立の問題は都立高校に比べて多く知識や解法テクニックを必要とします。

子どもの入試問題の適性を調べるための時間も必要です。

都立高校が第一志望で第一志望に近いレベルの私立高校も合格したいなら私立高校の入試対策は必須です。

早い時期から高校受験の勉強を始めなければいけません。

ただ都立高校が第一志望の子どもで学校の定期テストが400点以下の学力レベルであれば併願優遇以外の併願受験はしない方が賢明です。

学校の定期テストは一番簡単なテストです。

そこで80点以下しか点数が取れない状況で私立の入試問題に対応することは難しいです。

子どもが中1や中2であれば、これからの頑張り次第で私立と都立の両方を準備する時間を作れる可能性はあります。

しかし中3生であればいろいろな道を模索する時間はありません。

一問でも多く都立高校の入試問題で得点を取れるトレーニングするべきです。

併願優遇以外の併願校の決め方

第一志望の高校の学力レベルが一番高くて併願優遇が一番下になるはずです。

都立高校が本命なら偏差値で5くらいの差であれば本命の都立と併願優遇の私立の2校の受験でよいでしょう。

第一志望が私立なら第一志望と同じくらいのレベルの高校を複数併願することをおすすめします。

私立入試は都立入試に比べて試験日が多いです。

せっかくチャンスがあるのだからできるだけ挑戦した方が後悔のない入試ができます。

人によっては何個も高校を受験しても進学する高校は一つだけだから、たくさん受験するのは無駄だという方もいます。

しかし受験が終わった後にもっとたくさん受ければよかったとかあの学校も受けておけばよかったと後悔する子どもや保護者を何度も見てきました。

全部合格できる保証はどこにもありません。

入試に絶対はありません。

決して無駄ではないと思います。

第一志望と併願優遇の学校の偏差値が10以上違う場合は別の高校も併願することを検討した方がよいでしょう。

私立の併願校は模試で判断しない‼

都立の共通問題は模試の結果で合否判定を判断できます。

一方、私立高校の合否可能性は模試では判断できません。

少なくとも東都ゼミナールの卒業生で12月の模試で第一志望の高校でA判定やB判定が出ているケースはほとんどありません。

私立高校は学校ごとに問題レベルや問題形式が多様なため、単純に偏差値で比べられません。

偏差値が高い学校でも問題が簡単な高校もあれば、偏差値のわりに問題が難しい高校もあります。

たとえば早稲田と立教だと学校のランクは早稲田の高いです。

しかし早稲田本庄よりも立教新座のほうが難しい問題が出題されます。

私立高校の合否可能性は過去問の点数で判断します。

模試の偏差値が足りていなくても、その学校に合わせたトレーニングをすることで合格は可能です。

問題は数ある私立高校のなかで、校風や環境を気に入り、わが子に合う問題を出題してくる高校を探すことはかなりの知識と労力を必要とします。

塾や家庭教師などの受験のプロに任せるのが現実的です。

まとめ

高校受験は正式な用語と俗語が混ざり判断を難しくさせています。

しかし入試制度は中学受験や大学受験に比べてシンプルです。

第一志望に合格できる人数は平均で3人中2人。

わが子が第一志望に合格できる保証はありません。

第一志望がダメでもこの学校なら行く価値がある。

ここで3年間頑張る‼と子どもが思える高校に3年間通えた方が楽しいと思いませんか?

第一志望に不合格でも次のステップに前向きに進むためには併願校の決め方と準備はとても大切です。

どこの塾でもパンフレットやHPを見ると高校受験対策と書いてあるため私立・都立に関係なく対応できるように見えます。

しかし実際はどこの塾でもできることではありません。

子どもの特徴、学校ごとの出題傾向、現状の学力から合格するのに必要なトレーニングの方法と量は経験と実績のある塾と担当がいないと実現できません。。

東都ゼミナールのカリキュラムは都立・私立に関係なく両方の対策を子どもの進路希望や学力に合わせて提案・実施しています。

過去の合格実績が塾の力を証明しています。

併願校の決め方のご提案や私立対策もしながら都立高校受験の準備もしたいなど子どもの状況に応じた受験対応を希望するなら東都ゼミナールはきっとお役に立てます

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